多くの仕事が機械に置き換わっている現代ですが、オックスフォード大学の調査では「10〜20年後には約49%の職業がAIで代替可能になる」との予測が発表されました。
AIに仕事を奪われないためには、AIについて知識を深める必要があるのですが、一口にAIといっても能力や使用方法は多種多様です。
そこで本記事では、シリーズ累計50万部を突破している人気書籍、「大人になったら何になりたい? 日本の給料&職業図鑑 こども編」を参考に、今後もAIに奪われない・なくならない職業ベスト10について解説します。
この記事を読めば、将来なくならない仕事の特徴、お給料、仕事内容、AIの基礎知識がわかります。
AIにできること、できないこと
AIの種類やできる仕事は様々ですが、AIが得意・不得意なことには共通点があります。
AIの基礎知識として、得意なこと、苦手なことをまとめたのが次の表です(タップで拡大できます)。
この表からわかるAIの長所と短所をまとめると、次のような結果になりました。
- AIの長所:正確でスピーディーな作業や情報収集ができる点。
- AIの短所:状況に応じた柔軟な対応や問題の発見、発案ができない点
AIの長所と短所を踏まえ、次の章では今後もなくならない仕事の特徴をまとめています。
絶対になくならない仕事の特徴・資格は?
将来絶対になくならない仕事は大きく2種類に分けられます。
現在ITスキルを持った人材が不足しているように、今後はAIに関するスキルを持つ人材が必要になると考えられます。
AIに携わる仕事
1つ目は以下のようなAIに携わる仕事です。
- AI開発
- メンテナンス、アップデート
- 複数のAIを組み合わせて働かせる仕事
- AIを活用する仕事
AI関連の仕事や資格については、今後ますます需要が拡大するでしょう。
AIの苦手分野を仕事にする
2つ目はAIの苦手な分野に関する仕事です。
AIはチームをまとめたり、企画立案したりといった仕事が苦手です。
例えば、次のような仕事内容が挙げられます。
- 個人個人に合わせて対応する、コミュニケーション能力が必要な仕事
- 課題や問題を発見し、解決策を模索する仕事
- 臨機応変な判断と対応が求められる仕事
- ゼロから新しいサービスなどを作り出す仕事
人と関わる仕事や、判断力が求められる仕事は今後もなくならないでしょう。
おすすめ職業ランキング10
上記を踏まえて、AIに奪われない職業のおすすめ度をランキング形式でまとめました。
お子様の将来を考える際の目安として、参考にしていただければと思います。
ちなみにこのランキングは、将来性、安定性、給料、休日や労働環境などを考慮し、私の独断で決めたものです。
- AIプランナー
- Webプロデューサー
- カメラマン
- データサイエンティスト
- 機械学習エンジニア(AIエンジニア)
- 公認心理師
- 看護師
- ツアープランナー(ツアーコンダクター)
- スポーツインストラクター
- 犬訓練士(ドッグトレーナー)
以下ではそれぞれの職業の給料、仕事内容、主な就職先などをまとめています。
AIプランナー
- 平均給料:300万〜500万円
- 労働時間:1日8時間ほど
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:起業すれば年齢を重ねても働ける
- 必要な資格:必要な資格はないが、「プログラミング」関連や「基本情報技術者試験」などの取得がオススメ
- 進学先:大学の理工学部などでデータサイエンスを学ぶのがオススメ
- 就職先:IT関連
おすすめの理由
AIプランナーは「AIでこんなことがしたい」という悩みに対し、「それできますよ!」と提案するのが仕事です。
これからの時代は、いかにAIを使いこなせるかが重要になります。
AIについて深い知識を持ち、AI技術の組み合わせや活用方法を模索するのがAIプランナーの仕事です。今後ますます成長していくと予想される、AI分野のスペシャリストともいえます。
子供たちが大人になるころには、AIプランナーが必要不可欠な存在になっているかもしれません。
仕事内容
AIプランナーはAIの知識と想像力をフル回転させて、新しい製品やサービスを提案・開発する仕事です。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 新しいAI技術をどう組み合わせるか考える
- 常に最新の情報を収集して、組み合わせ方を考える
- どのような製品がビジネスに役立つかを考える
- AIの活用方法を企業などに提案する
Webプロデューサー
- 平均給料:400万〜800万円
- 労働時間:1日8時間ほど
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:起業すれば年齢を重ねても働ける
- 必要な資格:必要な資格はないが「ITに関する資格」の取得がオススメ
- 進学先:IT関連の大学や専門学校
- 就職先:Web制作会社、広告代理店など
おすすめの理由
Webプロデューサーは主にWebサイトの企画を立てたり、製作チームをまとめたりするのが仕事です。
ライティングやWebデザインなどは既に一部AIが担当していますが、企画立案や製作チームをまとめるなどの仕事は人間にしかできません。
ブログ記事やWebサイト運営は依然として必要な仕事であり、中心人物となるWebプロデューサーは今後もなくならない仕事といえるでしょう。
Webプロデューサーはリーダーや管理職のようなポジションなので、学校卒業後はWeb制作について経験を積み、実力をつけていきましょう。
仕事内容
Webサイト制作には多くの人が携わっていますが、企画立案、予算管理、全体の統括をしているのがWebプロデューサーです。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 企業のホームページや商品を紹介するサイトの制作
- 依頼主からのヒアリングやリサーチ
- 製作チームへの仕事を割り振り、進行管理
- 全体の統括と依頼主への納品
カメラマン
- 平均給料:300万〜500万円
- 労働時間:撮影現場による
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:仕事の依頼があり、体力があれば何歳でも
- 必要な資格:必要な資格はないが、「写真技能士」や「実用英語能力検定(英検)」などがあれば有利
- 進学先:芸術・美術系の大学や写真の専門学校など
- 就職先:出版社や新聞社、フォトスタジオ
おすすめの理由
今は誰でもスマホで綺麗な写真が撮れる、AIで高度なCGが作れるといった時代ですが、被写体の臨場感や魅力が伝わってくるような写真はプロのカメラマンにしか撮れません。
自分にしか撮影できない、魅力的な写真や映像が撮れるなら年齢に関係なく活躍できるでしょう。
写真集の出版や、フリーランスとして複数社から依頼を受けるなど多様な働き方ができる職業です。
仕事内容
カメラマンの仕事はチーム戦です。
雑誌などを作る際はデザイナーや編集者などとチームを組み、目的に合わせてどんな写真を撮影するか意見を出し合います。
カメラマンは撮影内容によって働き方が大きく変わりますが以下のような仕事が一般的です。
- 雑誌や広告などの写真を撮る、商業カメラマン
- 事故や出来事を撮影する、報道カメラマン
- 結婚式場などで働く、ブライダルカメラマン
- フォトスタジオに勤務しているカメラマン
データサイエンティスト
- 平均給料:500万〜1000万円
- 労働時間:1日8〜10時間ほど
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:22〜65歳ほど
- 必要な資格:名乗るために必要な資格はないが、仕事上「プログラミング」関連の資格と「英語力」は必須。
- 進学先:大学の理工学部でデータサイエンスを学ぶのがオススメ
- 就職先:大規模なIT企業、製造業など
おすすめの理由
データサイエンティストはAIを活用し、ビッグデータを収集・分析して問題の原因を見つけたり、解決方法を提案したりする仕事です。
ビッグデータとは、人間には把握しきれないほど膨大なデータの集まりを指すIT用語です。
AIは膨大なデータの収集や分析を得意としていますが、問題点の発見や解決方法の模索は人間にしかできません。
またデータサイエンティストは分析した結果をもとに新たなAIの開発に携わったり、AI開発に欠かせない学習用のデータを用意したりと、今後ますます需要が高まる職種だと考えられます。
Yahoo!Japanなどが典型的な活躍場所で、とても幅広い企業で活躍しています。
仕事内容
データサイエンティストはあらゆるデータを収集、蓄積、調査、分析します。
主の仕事内容は以下の通りです。
- 市場動向などに表れる統計や各種データの分析(ビッグデータの分析)
- 分析結果を元に、さまざまな角度から今後の予測を立てる
- クライアントにアドバイスをしたり、利益アップや問題解決の提案をしたりする
- 収集・分析したデータを元に、AI開発に携わる
機械学習エンジニア(AIエンジニア)
- 平均給料:400万〜1200万円
- 労働時間:1日8〜10時間ほど
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:起業すれば年を取っても働ける
- 必要な資格:名乗るために必要な資格はないが、「プログラミング」関連は必須で、「英語力・中国語力」と高度な「計算力」も必要になる
- 進学先:大学の理工学部や情報学部など
- 就職先:AIを扱うIT企業、研究所、自動車メーカーなど
おすすめの理由
機械学習エンジニアはAIを育てる仕事とも言えます。
コンピューター(機械)が自動的に学習するように処理することで、コンピューター自身がビッグデータを収集して学習し、AIが開発されていきます。
つまり機械学習エンジニアは、AI開発の中核を担う仕事というわけです。
顧客の目的に合わせたAIの最適化が可能になるため、機械学習エンジニアの注目度は高まっています。
仕事内容
機械学習エンジニアは、目的に合わせてどのようなAIを開発するかを考え、データ検証やプログラムの修正などを行います。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 目的や使用方法など、開発するAIの詳細を決める
- AIに与えるデータ整理、アルゴリズム開発、データ解析
- 機械学習プログラムの設定、検証、修正
公認心理師
- 平均給料:400万〜500万円
- 労働時間:1日8〜10時間ほど
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:公的機関の場合多くは、60歳が定年
- 必要な資格:必要な資格は「公認心理師」で、「臨床心理士」や「教員免許」があれば仕事の幅が広がる
- 進学先:4年制大学などで「公認心理師」の受験に必要な科目を学ぶ必要がある
- 就職先:病院や児童相談所、家庭裁判所など
おすすめの理由
公認心理師は心に不安や悩みを抱えた人に寄り添い、問題解決をサポートする仕事です。
人の話を聞き、悩みや心理状態を分析して解決策を考える仕事は人間にしかできません。
高度なコミュニケーション能力と臨機応変な対応が求められる公認心理師は、今後もなくなることはないでしょう。
現在多くの企業が労働者の「心の健康」を重要視しており、今後はより公認心理師の需要が増えると予想されます。
仕事内容
医療現場では多職種が連携して働くことが求められます。
公認心理師は医師や看護師と協力しながら業務を進めるため、高いコミュニケーション能力が必要な職業です。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 患者の心のケア
- 患者の不安や悩みの原因を分析
- 患者の悩みや問題解決のフォロー
看護師
- 平均給料:400万〜500万円
- 労働時間:1日8時間ほど*¹
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:一般的に定年は65歳だが、70歳を超えて働き続けている人も多くいる
- 必要な資格:看護師
- 進学先:看護学校
- 就職先:病院や診療所、福祉施設など
*¹日直、夜勤など、交代制で働くことが多いため不規則なシフトになりやすい傾向があります。
おすすめの理由
看護師は医師や患者のサポートをするのが仕事ですが、AIは他業種との連携や臨機応変な対応ができません。
人が存在する限りなくなることはない仕事ですし、高齢化により需要も高まっています。
福利厚生や収入が安定している職場が多く、人気の職業なのもうなずけます。
仕事内容
看護師の仕事は医師が行う治療や診療の手助けをすることです。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 患者の症状を聞き出したり、体温や血圧の測定
- 治療のための注射や点滴
- 診療や手術の準備、術後の観察
- 患者や家族とのコミュニケーション
ツアープランナー(ツアーコンダクター)
- 平均給料:300万〜500万円
- 労働時間:1日8時間ほど(旅行内容により異なる)
- 休日:週休2日(繁忙期などは変則的)
- 働ける年齢:企業が定める定年まで
- 必要な資格:必要な資格は「旅程管理者」で、「旅行業務取扱管理者」や「トラベルヘルパー」があれば仕事の幅が広がる
- 進学先:旅行の専門学校や大学
- 就職先:旅行代理店、添乗員派遣会社など
おすすめの理由
ツアープランナーは旅行企画の立案やパンフレットの作成、旅行に同行するツアーコンダクターへの引継ぎなどが主な仕事です。
発想力や判断力、コミュニケーション能力が重要になるため、AIには不可能な仕事といえます。
また高齢化が進みコロナも収束してきた今、高齢者や外国人の旅行意欲が高まっているため、今後需要が拡大すると予想される職業です。
ツアープランナーとツアーコンダクターを、両方こなせるスキルがあれば仕事の幅が広がります。
仕事内容
ツアープランナーは主に旅行計画を立てる仕事で、ツアーコンダクターは旅行に同行して指揮を執る仕事です。
スキルがあればどちらの仕事も可能になるため、それぞれの仕事内容を簡単に解説します。
ツアープランナーの主な仕事内容
- グルメやドラマのロケ地、観光スポットなどの最新情報やニーズのリサーチ、分析
- 高齢者や体が不自由な人など、「どんな人でも楽しめる旅行」を目指し旅行プランを考える
ツアーコンダクターの主な仕事内容
- ツアーの進行、観光地の見どころの解説
- 要望やトラブルへの対応
スポーツインストラクター
- 平均給料:200万〜500万円
- 労働時間:1日5〜7時間(準備などの時間は含まない)
- 休日:週休2日
- 働ける年齢:多くは一般的な定年退職と同じだが、自分の体力次第で長く働ける
- 必要な資格:必須資格はないが、「健康運動実践指導者」や「FTPマットピラティスインストラクター」などは取得しておきたい。
- 進学先:体育大学等
- 就職先:フィットネスジム、スポーツスクール、パーソナルトレーナー
おすすめの理由
運動や体に関する知識を活用しながら、一人一人をよく観察し、その人に適した指導方法を実践するのは人間にしかできません。
最近はオンラインレッスンやパーソナルトレーナーの需要が拡大しており、多様な働き方ができる点も魅力です。
不特定多数が集まるジムに比べ、オンラインや個別のレッスンは感染リスクが少なく、安定した需要が見込めます。
仕事内容
運動や健康について、トレーニング指導をするのがスポーツインストラクターの仕事です。
主な仕事内容は以下の通りです。
- フィットネスジムやスタジオでの個人レッスンやグループレッスン
- 高齢者等への運動指導
- アスリートへのトレーニング指導
- 独立
犬訓練士(ドッグトレーナー)
- 平均給料:260万〜400万円
- 労働時間:1日10〜12時間
- 休日:週休1日ほど
- 働ける年齢:体力が持つ限りは何歳でも働ける
- 必要な資格:必要な資格はないが、「犬訓練士」や「ドッグトレーナー」などは取得したい
- 進学先:動物看護学科などがある大学や専門学校
- 就職先:ペット関連の企業や訓練施設、ペットホテルなど
おすすめの理由
犬訓練士の仕事はペットや警察犬などの「しつけ」です。
犬を訓練するには、信頼関係を築くことが最も重要になります。
表情や声のトーン、においなどで状況を判断する犬と、AIが信頼関係を築くことは不可能でしょう。
ペット需要は年々高まっており、ドッグセラピーなどしつけ以外の仕事も増えているため、犬訓練士の需要は今後拡大すると予想されます。
動物が好きなお子様におすすめの職業です。
仕事内容
犬を訓練する目的はさまざまですが、基本的には犬のお世話や訓練などをするのが仕事です。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 犬舎の掃除やエサやり、犬の散歩とトイレ
- 一般家庭の犬の訓練
- 飼い主へのアドバイス
- ドッグショーに出る犬や災害救助犬、警察犬などの訓練
まとめ
おすすめの職業ベスト10を簡単な表にまとめました。
それぞれの平均給料、労働時間、休日、働ける年齢、資格、進学先、就職先は以下の通りです(タップで拡大できます)。
職業について全体的な特徴をまとめると、次のような結果になりました。
- 最も収入が高いのは、機械学習エンジニア
- 今後最も需要が高まりそうなのは、AIプランナー
- 高度なコミュニケーション能力が求められるのは、公認心理師
- 比較的独立しやすいのは、Webプロデューサー
高いスキルが求められる職業もあるので、お子様の適正に合わせてサポートしたいものです。
AI時代を生き残る方法
これまでの内容をまとめると、AI時代に生き残るために必要な力や方法は以下のことが考えられます。
- AIやITに関するスキル
- 臨機応変に対応できる判断力と、問題解決力
- コミュニケーション能力
- 将来の独立
中でも独立ができる職業は、自己研鑽のモチベーションを保ちやすいでしょう。
おわりに
今回は人気書籍、「大人になったら何になりたい? 日本の給料&職業図鑑 こども編」を参考に、AIに奪われない、なくならない職業について解説しました。
本記事がお子様といっしょに将来を考える一助になれば幸いです。
また、当ブログでは子育てに関する記事を多くまとめていますので、宜しければ併せてご閲覧ください。
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