自然災害に関するニュースは年々増加しており、30年以内に首都直下型地震が起きるとの予測もされています。*¹
必然的に防災意識も高くなり、多くの店で防災グッズコーナーが設けられるようになりました。
もしもの備えとして最低限の防災対策をしておきたいものですが、防災グッズの値段と性能について悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、東日本大震災を経験した筆者が厳選する「ダイソーで揃う防災グッズ6品」について解説します。
震災時に、あって助かったものや欲しかったもの、実用的だと感じたグッズを選出しました。
防災グッズに興味のある方はぜひ最後までお読みください。
*¹国土交通省 巨大地震のリスク(https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1222000.html)
防災グッズの選び方
防災グッズを選ぶ前に、1次避難と2次避難について知っておく必要があります。
1次避難は「災害が起きてから避難場所に指定されている安全な場所へ逃げるまでの避難」のことです。
2次避難は「被災したライフラインが復旧して、元の生活へ戻るまでの避難」を指します。
本記事では緊急性の高い1次避難を想定し、絶対に必要になるものをリストアップしました。
1次避難で必要になるのは、最低でも約3日過ごせる量の防災グッズや食料です。
目安としては、持ち運びができるリュックに入りきる程度の量です。
絶対必要になる防災グッズ6品
今回選抜した防災グッズは以下の6品で、重要度が高い順に記載しています。
今回解説するのは最低限必要な防災グッズです。
余裕をもって備えておきたいという方は、「国が推奨している防災グッズリスト(https://www.kantei.go.jp/jp/content/000111250.pdf)」をご確認ください。
また本記事では深堀りしませんが、「乾電池」も必須アイテムですので常備するようにしてください。
「災害時の乾電池の重要性」と「充電池と乾電池のコスパ検証」についてはこちら詳しくまとめています。
アルミブランケット
まずはアルミブランケットをご紹介します。
本記事作成時点で、ダイソーのアルミブランケットは「ポンチョタイプ」と「シートタイプ」の2種類があります。
アルミブランケットは素材に金属のアルミニウムを使用しており、「保温性・防水性・防風性」が高いのが特徴です。
災害時には雨風をしのいだり、体温低下を防いだりする目的で使用します。
必要性と使用例
東日本大震災が起きたのはまだ寒い日が続く3月で、停電により暖房器具が使えませんでした。
当時は日中でも気温が約0℃〜2℃で、家の中でもコートを着用して生活していたのを覚えています。
雨や外気温による体温の低下は生命にかかわるため、災害時に最も警戒すべきは「体温の確保」になります。
アルミブランケットは体が濡れていたり外気温がとても低かったりした場合でも、高い保温効果が期待できるアイテムです。
使用例は以下の通りです。
- ジャケットとして着用する
- 保温効果を高めるため、衣服の下に着用する
- 頭にかぶり、雨風をしのぐ
- 地面に敷いて、座った際の温度低下や衣服が濡れるのを防ぐ
- 荷物などが濡れないように覆う
実用性を検証
実際の大きさ・・・ポンチョタイプは約130㎝×90㎝、ブランケットタイプは約140㎝×210㎝(写真のメジャーの長さは100㎝です)
耐久性・・・引っ張り強度はスーパーのビニール袋程度で、手触りもビニール袋
使用感・・・非常に軽く保温性も抜群で、コンパクトに収納できる。また内側からのぞくと、外が透けて見える
総合評価
思ったよりサイズが大きく、成人男性でも体全体を包み込むことができました。
保温力が高くコンパクトに収納できる点も評価できます。
耐久性は低いですが、多少破れていても保温目的であれば問題なく使用できるでしょう。
耐久面が心配な方は、少し多めに備蓄しておくと安心です。
LEDライト
商品名は「ランチャーライト」で、本体は非防水のアルミ製です。
LEDを使用しており、軽量で小型ながら非常に明るいのが特徴です。
懐中電灯などのライト類は災害時、平常時を問わず便利なアイテムですので、玄関や寝室など数か所に配置しておきましょう。
必要性と使用例
懐中電灯などのライト類は夜間の照明以外にも、暗い室内での探し物や身動きが取れないときの救難信号など、活用の幅がとても広い防災グッズです。
また小型で軽量のライトは、口にくわえることでヘッドライト代わりになり、両手が使えるメリットもあります。
筆者としては、防災用リュックサックの容量を増やすためにも、ヘッドライトではなく汎用性の高い小型LEDライトをオススメします。
使用例は以下の通りです。
- 夜間の照明や室内の探し物
- ヘッドライト代わり
- 救難信号
- 危険人物や野生動物への目くらまし
- 家族間でライトの点滅回数による合図を決めておき、遠くにいても意思疎通ができるようにする
実用性を検証
実際の大きさ・・・約3㎝×8.5㎝(画像はタップで拡大できます)
耐久性・・・約2mの高さから3回落としたが破損はなかった、石に数回ぶつけても本体に傷がつく程度(ガラスやライト部分は除く)
使用感・・・
- ボタン式で非常に軽く、ストラップ付で取り回しやすい
- 口にくわえても、ほとんど重量を感じない
- 約10m先のものを照らせる
- 暗がりで、はっきりと物が識別できる距離は約4〜5m
- 単4電池を3本使用
総合評価
軽量で扱いやすく耐久性も十分あり、屋内で活動するのに最適なライトといった印象です。
欲を言えば、照度がもう少し高ければいいと思いました。
しかしながら100円のライトである点を考えれば、申し分ない性能と言えるでしょう。
防水機能やUSB充電機能など、本格的な多機能ライトが欲しい方は以下のリンクをご確認ください。
緊急簡易トイレ
水がなくても使える簡易トイレで、洋式トイレやバケツにかぶせて使用します(1回分)。
凝固剤と消臭剤が入っており汚物を素早く固め、においも防止してくれます。
必要性と使用例
災害時に、食料よりも先に必要になるのが「トイレ」です。
実際に、過去の災害でも非常に多くトイレのトラブルが起きています。
一般的な成人が1日にトイレを使用する回数は4回〜6回とされており、およそ4時間に1回は用を足す計算になります。*¹
災害時は断水することも多く、避難所などではトイレが不衛生になりがちです。
そのため数多く備える必要がある防災グッズであり、使用方法もトイレ用に限定するのがよいでしょう。
トイレの回数を極力減らしても、1人当たり10袋は準備しておきたいですね。
*¹MDSマニュアル(尿の量や頻度の増加)
実用性を検証
実際の大きさ・・・黒い汚物袋は約65㎝×50㎝、白い処理袋は約18㎝×45㎝(画像はタップで拡大できます)
耐久性・・・黒い汚物袋は厚手のポリ袋のような質感、白い処理袋は厚めのビニール袋のような質感
使い方・・・
- 汚物袋の口を外側に少し折り、便器と便座の内側に挟む
- 便座を乗せしっかりと汚物袋を固定する
- 使用後、汚物の上に全体に行き渡るように凝固剤を振りかける
- 汚物袋を取り出し、袋の口をしっかりと結び、処理袋に入れて廃棄する
以下は実際に使用した様子の画像です(画像はタップで拡大できます)。
使用感・・・凝固剤に水を入れるとゼリーのように固まり、約2リットルの水を吸収したが、白い処理袋が若干伸びてしまった。
総合評価
黒い汚物袋の強度は十分にありましたが、白い処理袋は若干伸びてしまいました。
このことから、緊急簡易トイレ1回分の上限は約1.5リットルと予想できます。
今回は絵の具を溶かした水を使用したので消臭効果がどの程度あるか不明ですが、尿などを吸収できる容量は十分にあると感じました。
状況にもよりますが、家族でトイレを共有できれば緊急簡易トイレを節約できるでしょう。
トイレを我慢するのは非常にストレスになりますから、家族分を十分な量、用意したい人は保存期間の長い商品をまとめ買いするのもオススメです。
ウォーターバッグ4.2リットル
取手付きの、ポリエチレン製ウォーターバッグ4.2リットルです。
大きすぎるものは重くて持ち運びが出来ない、小さすぎるものは使い物にならないためちょうど良い大きさです。
必要性と使用例
水は飲料の他、手指や傷口を清潔に保つためにも必要になります。
災害が起きて間もない時は水道が使える場合もあるため、風呂桶やウォーターバッグに水をためることを意識しましょう。
また補給が来た際は、水をためておける容器があると安心です。
使用例は以下の通りです。
- 貯水
- 重りとして使用
- ライトで照らし、照明替わりに使用
実用性を検証
実際の大きさ・・・約30㎝×30㎝×15㎝(画像はタップで拡大できます)
耐久性・・・丈夫さは炭酸飲料用のペットボトル程度、手触りは柔らかく手指を切ることは無いように感じる
使用感・・・吐水口が大きく水を出し入れしやすい、取手部分も丈夫でちぎれる様子はない(画像はタップで拡大できます)
総合評価
吐水口が広いため使い勝手がよく、耐久性も十分あると感じました。
水を通さず厚手で丈夫なため、座る際のシート代わりにもなります。
材質が柔らかいので、枕としても使えそうです。
なお、飲み水はローリングストックとして日常的にある程度常備しておきましょう。
ターボライター
風が吹いていても使いやすい「ターボ式」のライターも必須です。
お子様による事故を防ぐためレバーが重くなっており、ロック機能も付いています。
必要性と使用例
災害時にガスや電気が使えない場合は、焚火で暖を取ったり料理したりします。
通常のライターは風に弱く、指先に火口があるため使いづらさを感じます。
一方ターボライターは多少風があっても問題なく使用でき、火口も取ってから10㎝以上離れているのでとても使いやすいアイテムです。
火の勢いが強いため、着火しやすい点もポイントです。
使用例は以下の通りです。
- 木材などに着火させ、焚火として利用
- スプーンやナイフなどを炙って殺菌する
- 火の勢いが強いため、光源には適さない
実用性を検証
実際の大きさ・・・約27㎝×4㎝(画像はタップで拡大できます)
耐久性・・・約2mの高さから3回落としたが破損はなかった、石など硬いものにぶつけると割れやすい(本体プラスチック部分)
使用感・・・火口が手元から離れているため安心して使用できる、軽量で火の勢いが強い、グリップ部分にオイル残量が分かる小窓がある(画像はタップで拡大できます)
総合評価
軽量で火力も高く、扱いやすいと感じました。
一般的な使用方法では十分な耐久性といえますが、硬いものにぶつけたり、ライターを付けっぱなしにしたりすることは避けるべきでしょう。
なお本格的なグッズが欲しい方には、燃料切れや水没、経年劣化の心配がない「ファイヤースターター」をオススメします。
マウスウォッシュ
最後はノンアルコールで低刺激タイプのマウスウォッシュ液です。
内容量は1本10mlで、3本入りになっています。
必要性と使用例
災害時には断水の影響などで歯磨きできず、口内が不衛生になりがちです。
食生活も偏りやすいためむし歯や歯周病になりやすく、特にご高齢の方は口内の細菌が誤って肺に入る「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」などのリスクも高まります。
こうしたトラブルを防ぐために、災害時にも口内ケアができる「マウスウォッシュ」が必要です。
本記事で解説するマウスウォッシュはノンアルコールの低刺激タイプなので、お子様にも安心して使用できます。
お子様がいるご家庭では、家族で使える「モンダミン子供用」などを備えておきたいですね。
実用性を検証
実際の大きさ・・・約13.5㎝×2.5㎝(画像はタップで拡大できます)
耐久性・・・もんだり折り曲げたりするとすぐに折れ目が付く、小袋自体は薄く耐久性は低い
使用感・・・清涼感のあるガムなどを薄めたような風味、辛味は少なく使用後も清涼感が持続する(画像はタップで拡大できます)
総合評価
辛味や甘みが薄く、スーッとしてさわやかな使用感でした。
小袋自体の耐久性は低いため、箱や容器に入れて保管するのが良いでしょう。
またマウスウォッシュは、ブラッシング後に使用するのが効果的とされています。*¹
水がなくてもブラッシング自体はできるので、最後の「すすぎ剤」として利用するのがオススメです。
*¹アース製薬 モンダミン洗口液と液体歯磨き区別して使っていますか?(https://www.earth.jp/mondahmin/column/02/)
防災グッズは消耗品
注意点として、防災グッズはあくまで「一時しのぎ」のアイテムだと認識してください。
1次避難が終わり2次避難の段階に入ると、不要になるグッズや役不足なグッズが増えます。
そのため本記事では、あえて安価な防災グッズに焦点を当てて解説しました。
ダイソーで購入できる100円の防災グッズは、大量に必要になる消耗品として非常にコスパが良く、最低限の備えとしても優秀です。
防災グッズを沢山揃えたい場合にはダイソーネットストアの利用もおすすめです。
利用手順や注意事項はこちらの記事でまとめています。
まとめ
今回の検証で、ダイソーの100円防災グッズでも十分備えになることが分かりました。
また安価に購入できるため、寝室や玄関、職場など数か所に常備しておくことをおススメします。
本記事を読んでいるあなたも、いざというときの練習として実際に使用してみてはいかがでしょうか。
他にも当ブログでは、災害対策に関する記事や様々な商品のレビューを行っていますので宜しければご閲覧ください。
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