2022年11月、モバイルバッテリーなどで有名なAnker(アンカー)から紛失防止トラッカーが発売されました。
発売は2022年4月頃からアナウンスされていて、注目度が高かったのかすぐに完売。
本記事作成時点の2022年11月7日には公式サイトまたはAmazon等で在庫なしの状況が続いていたほどの人気です(現在は在庫が復活しています)。
また紛失防止トラッカーと言えばAirTagが有名ですよね。
AnkerのものはAirTagと比べてどうなのかも気になるところです。
というわけで、本ページではAnkerの紛失防止トラッカーを実際に購入して使ってみた感想と、AirTagと比較した使い勝手などをまとめています。
Anker Eufy (ユーフィ) Security SmartTrack Linkが発売
2022年11月1日、Anker Eufy Security SmartTrack Linkが発売されました。
名前が長ったらしいですが、要するに紛失防止タグです。
定価は2,990円(税込み)で、AirTagの定価4,780円(税込み)と比べると、たいぶお値打ち感があります。
しかも買い切り型の商品なので、月額費用は発生しません。
Anker SmartTrackは鍵やカバンに付けておくと位置情報がわかるものですが、ウリとしている機能はAndroidでも利用できる点です。
AirTagはiPhoneなどのApple製品でしか利用できませんが、Anker SmartTrackはAndroidでも、もちろんiPhoneでも利用できます。
しかしちょっと罠があるので、詳しくは後述します。
またiPhoneの探すアプリにも対応していて、AirTagと同様、買い切り型の商品にも関わらずiPhone等のネットワークを利用して広範囲での位置情報特定を実現しています。
実際に買ってみた
発売開始前にAmazonで予約を受け付けていたので、早速購入。実際に届いたのがこちらです。
私はAriTagを持っていたのである程度大きさは予想出来ていましたが、タグ本体はかなり小さいです。
ボールペンと比較するとこんな感じ。
本体裏面にはQRコードがあり、
専用アプリから紛失モードをONにしておくと、「名前」「メールアドレス」「電話番号」「メッセージ」などを取得者に伝えられる仕組みになっています。
バッテリーはボタン電池(CR2032)で、裏蓋に爪をひっかけて開ける仕組みです。
バッテリー想定寿命は1年です。
利用方法は
- 専用アプリ(Android・iPhoneどちらでもOK)
- 探すアプリ(iPhoneのみ)
の2通りがあります。
専用アプリの設定
Android端末からの利用方法は専用アプリ一択です。
細かい手順は割愛しますが、アプリストアでeufy Securityをして、手順通りに進めていくだけです。
このアプリを使ったことの無い人は、新規にアカウントを作成する必要があります。
アカウントさえ登録してしまえば後は簡単で、デバイスの追加で「SmartTrack Link」を選択するだけです。
これで位置情報が確認できます。
新規アプリ&登録はちょっと面倒ですが、
- SmartTrackからスマホの音を鳴らす
- 紛失時のメッセージ登録
- ファームウェアの更新
などは専用アプリでしか出来ませんので、iPhoneユーザーでも登録するのがオススメです。
探すアプリ
iPhoneユーザーでとりあえず「位置情報を取得したい」という人は、探すアプリを利用するのが手っとり早いです。
登録方法はデバイスの追加で「その他の持ち物を追加」を選択するだけです。
同封の説明書に記載がありますが、「持ち物を探索中…」の間にSmartTrackを2秒長押しすると音がなるので、それでペアリングモードに入ります。
詳しくは下で説明しますが、遠い場所でSmartTrackの位置を特定したい場合は、探すアプリへの登録が必須です。
Anker SmartTrackはAndroid端末でも使えるが…
繰り返しになりますが、Anker SmartTrackはAndroid端末で利用可能です。
ただし利用できる範囲はBluetoothの接続範囲内に限ります。
Bluetoothの有効範囲はおよそ10mと言われているので、AndroidでAnker SmartTrackを利用する場合は家の中など、狭い範囲での位置特定しか出来ません。
Anker SmartTrackはSIMが内臓されていないので、自発的に位置情報を発信することが出来ないからです。
なのでAndroidユーザーは外出先に忘れ物をした場合や、誰かにモノを盗られた場合は追跡が非常に困難です。
これを理解せずにAnker SmartTrackを購入した場合は、期待外れの買い物になってしまいます。
ですがここで登場するのがiPhoneの「探すアプリ」です。
探すアプリに登録することで、近くにAppleユーザーがいたらそのネットワークを利用して位置情報が更新されます。これはAirTagと全く同じ仕組みです。
下の画像は探すアプリにAnker SmartTrackを登録したものですが、0.7km先でも位置が特定できています。もちろん条件を満たせば10kmでも100kmでも追跡可能です。
しつこいようですがこれはAndroidでは出来ず、iPhoneだけの機能になります。
AndroidユーザーでAnker SmartTrackの購入を検討している人は、狭い範囲でのみ使えることを理解した上で購入しましょう。
Anker SmartTrackとAirTagを比較
次にAnker SmartTrackとAirTagを
- 見た目・大きさ・重さ
- GPSの正確性
- 追跡速度
の3点で比較してみます。
見た目・大きさ・重さ
Anker SmartTrackとAirTagを並べてみます。
個人的にはAirTagのほうがデザインは好きですが、Anker SmartTrackは本体にホールがあるので、ケース不要で鍵などに付けることが出来ます。
AirTagの場合はケースに入れるひと手間あるのが難点です。
ちなみにカラナビ付きのAnker SmartTrackケースもサードパーティー製ではありますが既に発売されていました。カバンなどに付ける場合はこれも良さそうです。
大きさを比較すると、若干Anker SmartTrackのほうが大きいです。重ねてみるとこんな感じ。
重さは若干Anker SmartTrackのほうが軽いですが、たった2gなので誤差程度です。
なので大きな違いは「デザイン」と「鍵などを通せるホールの有無」の2点です。
GPSの正確性
次にAnker SmartTrackとAirTagでGPSの正確性に違いがあるのか、検証してみます。
こちらは探すアプリに2つのデバイスを登録したものです。同じ人にAnker SmartTrackとAirTagを持って、移動してもらいました。
こけしのアイコンがAnker SmartTrack、カバンがAirTagなのですが、正しい位置は赤矢印が指している「Anker SmartTrack」の位置です。AirTagは3mほどのズレがありました。
別日に再度検証してみました。ぬいぐるみアイコンが「Anker SmartTrack」、ジャケットアイコンが「AirTag」なのですが、正しい位置は赤丸の点です。
どちらも2mほどの誤差がありますが、AirTagのほうが若干正確でした。
他にも何度か検証しましたが、私の環境では
- Apple純正だからAirTagのほうが精度がいいわけではない
- Anker SmartTrackのほうが精度がいいときもある
- どちらもすごく正確な位置を指し続けることは無い
という検証結果でした。
この結果は人口密度(周りのAppleユーザーの数)など、環境によって異なると思うのであくまで参考程度にしてください。
追跡速度
最後に追跡速度を検証してみます。
出来ればほぼリアルタイムに追跡できるのが好ましいのですが、AirTagやAnker SmartTrackではそれはほぼ不可能です。
下の画像は2つのデバイスを持って、自転車で移動してもらったものです。
進行方向は赤矢印の方角で、カバンアイコン(AirTag)のほうが正確に位置特定がされています。
1分ほどすると、こけしアイコン(Anker SmartTrack)の位置情報が更新されました、こちらのほうが正確な位置となりました。カバンアイコン(AirTag)は中々更新されません。
と思ったらカバンアイコン(AirTag)が更新され、目的地の自宅を指しました。こけしアイコン(Anker SmartTrack)は若干更新が遅れています。
20秒後、どちらのデバイスも自宅を指しました。
そこまで人通りが多くない場所を自転車で走った結果ですが、Anker SmartTrackもAirTagも、毎秒ごとに追跡位置を確認するような動作はしません。
またどのような仕組みかはわかりませんが、何度か同じような検証をしても2つのデバイスが同じような追跡位置を示すことはなく、片方が更新されたらもう片方が置いて行かれて…を繰り返すような形でした。
ただ「どちらのほうがより正確に追跡できているか」というのは無く、「AirTagのほうがApple純正だから正確に追跡できる」などの差はありませんでした。
こちらの検証結果もあくまでも私の環境の場合です。参考程度にどうぞ!
Anker SmartTrackだけで出来ること・優れている点
私の環境ではGPSの正確性、追跡速度共にAnker SmartTrackとAirTagでは大差ありませんでしたが、Anker SmartTrackでしか出来ないことや、AirTagより優れている点がいくつかあります。
- Android端末で使える(Bluetooth有効範囲内のみ)
- 紛失時の連絡先等をiPhoneユーザー以外にも知らせる方法がある(裏面のQRコード読み込み)
- Anker SmartTrackからスマートフォンを鳴らせる
特に3番の機能はスマホを頻繁に無くしてしまう人は重宝する機能です。
Anker SmartTrackもAirTagも、スマホからこれらのデバイスを鳴らすことは出来ますが、デバイスからスマホを鳴らせるのはAnker SmartTrackだけの機能です。
AirTagだけで出来ること・優れている点
逆にAirTagだけで出来ること・優れている点もあります。
- ペアリングがスムーズ(Anker SmartTrackの2秒長押しなど、特別な操作が必要なくかなり直感的に接続できる)
- 「正確な場所を見つける」機能が使える
iPhone11以降で使える「正確な場所を見つける」は「ソファのクッションの間」など、細かい位置の場所特定ができる機能です。
残念ながらiPhone11以降であっても、Anker SmartTrackでは「正確な場所を見つける」機能は使えません。
Anker SmartTrackの活用方法・利用用途は?
最後にAnker SmartTrackの活用方法・利用用途についておさらいしておきましょう。
持ち物の管理・紛失防止がメイン用途
やはりメインの利用用途は物品につけて使う方法です。
鍵・カバンなど、大切なものに付けて使いましょう。
財布に入れてもいいのですが、少し厚みがでるのが難点です。
財布に使いたい場合は、もうすぐ発売予定の「Eufy Security SmartTrack Card」を待ちましょう。
厚さ2.4mmで、カードポケットにすっぽり入るようです。
追記:カード型が販売開始となりました!早速買ってみてレビューをしていますので、こちらも合わせてご覧ください。
子供・ペットの位置情報・追跡にも使える?
Anker公式ではAirTagで推奨されていない子供・ペットへの利用も用途例として挙げられています。
確かにiPhoneの探すアプリを利用した場合に限り、広範囲で位置情報はわかりますが
- 正確な場所は不明(ズレがある)
- 周りにAppleユーザーがいないと位置情報がわからない
- リアルタイムに追跡が出来ない
など、不安な点もあります。
ですが何も対策をしないよりは、もちろんあったほうが良いので、お守り代わりに持たせてみるのがオススメです。
Anker SmartTrackを持たせていれば安心!という過信は禁物です。
ちなみにAirTagでは長時間持ち主の手元を離れると、ランダムで音が鳴る仕様ですが、Anker SmartTrackにはこれがないので、学校に持っていっても安心です。
iPhoneの探すアプリに接続できない?
Anker SmartTrackがiPhoneの探すアプリに登録できない事象が複数報告されています。
実際に自分も遭遇しました。
結論から言うと何とか接続できるようになりました。Ankerカスタマーサポートから対処法を3つ案内されたので、詳しくはこちらの記事にまとめています。
Anker製品は会員登録をすると最大24カ月保証に
Anker SmartTrackに限らず、Anker製品の多くは公式サイトに会員登録をすると、製品保証期間が「18カ月 ➡ 24カ月」に延長されます。
会員登録 = eufy Securityアプリの登録とは違いますので、ご注意ください。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
おわりに
2022年11月に発売されたAnker SmartTrackを購入してみました。
記事中にも書きましたが、Androidユーザーには限られた利用しか出来ないため、強くオススメは出来ません。
ただiPhoneでは探すアプリが利用できるため、ランニングコストがかからない買い切り型にも関わらず、広範囲で位置情報が取得できるのは大きな大きなメリットです。
Appleが他社に探す機能を提供したのはちょっとびっくりしたほどです…
Anker SmartTrackは価格が比較的安価なので、例えば追跡したいものが3個あっても、
- AirTagを3個買う場合:14,340円(税込み)
- Anker SmartTrackを3個買う場合:8,970円(税込み)
と、5,370円の差があるのも魅力的です。
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