2021年7月2日、ゆうちょ銀行が一部サービスの料金改定を発表しました。
その内容は値上げや手数料の新設で、項目は多岐に渡ります。
特に目立つのが「硬貨」や「通帳」など、今のデジタル時代にはそぐわないモノへの冷遇です。
本ページではゆうちょ銀行の改定内容の概要と、その中でも「硬貨の取扱い」について掘り下げてまとめています。
郵便局が複数の料金改定を発表
ゆうちょ銀行は2021年7月2日に、「一部商品・サービスの料金新設・改定について」を発表しました。
公式URL:https://www.jp-bank.japanpost.jp/news/2021/news_id001686.html
料金改定の内容は下記の通りです(リンク先はPDFです)。
【払込みサービス・硬貨取り扱い等の料金新設・改定】
【ATM関連料金の新設・改定】
このページではすべての改定については触れませんが、この中でも多くの人に関係がありそうな「硬貨の取扱いに対する手数料の新設」について掘り下げて説明していきます。
なおいずれの改定も適用は2022年1月17日~です。
硬貨の預け入れ
今回の改定で「硬貨の預け入れ」に対して手数料が新設されます。
子供のときに当たり前だった「貯金箱に小銭をひたすら貯めて、いっぱいになったら郵便局で通帳に入れる」という行為に手数料が発生することに…
ATMの場合
今までは1回に100枚まで無料でATM預け入れが出来ていましたが、改定後は硬貨1枚から手数料が発生します。
預け入れる硬貨の種類によっては手数料のほうが高くつきそうです。
窓口の場合
今まではあまりにも多い量ではない限り、窓口で無料で硬貨の預け入れが出来ましたが、改定後は51枚~手数料が発生します。
ただし募金のような義援金の預け入れは今まで通り無料で預け入れが出来るようです。
硬貨の引き出し(払い戻し)
今回の改定で「硬貨の引き出し(払い戻し)」に対しても手数料が新設されます。
ATMの場合
今まではいつでも・何円引き出しても無料だったATM手数料ですが、改定後は引き出しに硬貨が1枚でもあると手数料が発生します。
振り込まれたお給料などを端数まで引き出している人は要注意です。
窓口の場合
窓口に関しては引き出し(払い戻し)で手数料が発生することは2022年1月17日以降もありません。
ただし引き出し時に金種を指定する場合は指定金種が51枚~手数料が発生します。
金種指定料金については硬貨だけではなくお札も対象です。例えば6万円を引き出すときに「1,000円札60枚」で指定した場合には、550円の手数料が発生します。
ただし1万円札については新券を除き、カウントの対象外となります。ややこしい…
ちなみにもっとややこしいことに、金種指定をしたことにより1万円未満の払い戻しが発生した場合は、そちらに対しても金種指定のカウント対象となるようです。
下の図は2万円の払い戻しで「100円玉50枚」を指定したものですが、この指定により5,000円札の払い戻しが発生するため、「合計51枚の金種指定➡550円の手数料発生」という若干わかりにくい内容となっています。
ATM硬貨取扱い時間帯の変更
手数料の新設に合わせ、ゆうちょATMの硬貨取扱い時間が激減します。
これは預け入れ・払い戻しの両方が対象です。
- 平日:7時~21時 ➡ 7時~18時
- 土日祝:9時~17時 ➡ 取扱不可
平日の時間短縮も影響が大きそうですが、土日祝日の取扱い停止は困る人が続出しそうですね。
預け入れの対策・代替案
上記の通り2022年1月17日以降は硬貨の預け入れに対して手数料が発生しますが、手数料をかけずに硬貨を預け入れする方法を模索してみます。
2021年のうちに預ける
まずは今現在○○円玉貯金などをしている人は、手数料が発生する前にATMまたは窓口で預け入れをしましょう。できれば少し余裕をもって2021年中に預け入れておくと安心です。
ATMは1度に100枚しか入らないため、500枚以上など、多めの硬貨を預けるときは窓口のほうがスムーズです。なお多すぎる硬貨を預けるときは郵便局へ事前に電話で連絡をしておくことをオススメします。
窓口を利用する(50枚まで無料)
2022年1月17日以降、手数料が新設されたあとでも窓口の預け入れは50枚までなら無料です。
大量に硬貨がある場合には面倒ですが何日かに分けて預けると、無料で預け入れができます。ATMは1枚から有料になるので必ず窓口を使いましょう。
地銀・信用金庫などを利用する
ゆうちょ銀行で手数料が発生するのであれば、ゆうちょ銀行以外に硬貨を預けるのも1つの手です。
例えば地元の銀行や信用金庫では、硬貨を無料で入金できるところがあるはずです。
例えば私は北海道に住んでいるのですが、北洋銀行では300枚までが無料で入金できます。
ただし最近では多くの銀行が硬貨の取扱いを敬遠していますので、将来的には手数料が改悪される可能性は高いかもしれません。
逆両替サービスを利用する
手数料がかかりますが「逆両替サービス」を利用するのもアリだと思います。
例えば日本では「ポケットチェンジ」というサービスが広まりつつあります。
ポケットチェンジは機械に小銭を入れると、Suica・WAON・Edy・Amazonギフト券などに交換をしてくれるサービスです。小銭は日本円だけではなく、ドルやユーロにも対応しています。
機械は関東を中心に設置されていて、空港をはじめイトーヨーカドー・タイトー(ゲームセンター)・ドンキホーテなどに多くあるようです。
設置場所:https://www.pocket-change.jp/ja/where-to-find/kanto/
一応、両替時に下記クーポンコードを入力すると交換レートが優遇されます。
しかしクーポンコードを使ったとしても、等価では交換できないのでご注意ください(額面が目減りします、1円が1円未満になる)。
オススメしたい利用シチュエーションとしては、「手元にわずかな日本円硬貨がある場合」や「海外旅行で余った硬貨がある場合」などです。
また機械がある施設が開いている限り利用可能なので、土日祝日でも小銭が交換できるのは一定の需要がありそうです。
引き出し(払い戻し)の対策・代替案
硬貨の引き出しについても手数料が発生するようになりますが、対策は単純です。
硬貨を引き出すときは窓口で
ATMで硬貨を払い出すと110円の手数料が発生します。
これを回避するには窓口で引き出すこと。窓口は金種を指定しない限りは何円引き出しても無料です。
「端数を引き出すときは窓口」「1,000円単位で引き出すときはATM」という使い分けをしましょう。
金種指定時は小分けに窓口で引き出す
金種を指定して引き出したいときは小分けにして窓口を利用しましょう。50枚までが無料です。
そもそも預け入れは枚数が多くなることがありそうですが、引き出しは自分で商売をしていない限りは50枚で十分なケースが多そうです。
どうしても多くの枚数が必要な場合は、複数日に分けて、50枚ずつコツコツと引き出すことで無料にすることが出来ます。
なお一部ゆうちょATMでは「10万円」を「100千円」と入力することで千円札が100枚引き出せる小技もあります。
金種指定手数料が設定されたあとにもこの小技が利用できるかはわかりませんが、550円の手数料が浮く可能性がありそうですね。
同時に複数件の定義はあいまい
「硬貨取扱料金」や「金種指定料金」の手数料に関する注意書きには
同時に複数件のお手続きをされる場合、硬貨の枚数を合算し、料金を判定いたします。
という旨が書かれています。
これは「50枚までは無料ですが、50枚の手続きを複数回することは出来ませんよ」という注意書きなのですが、「同時に複数件」という判断が利用者からするとわかりにくいですよね。
「1日1回?」「午前と午後で2回やってもいいの?」「1時間刻みでは?」と言った具合です。
これに関してゆうちょ銀行のコールセンターに確認したところ
大変申し訳ございませんが回答を持ち合わせていません。制度が開始になりましたら最寄りの郵便局窓口へお問い合わせをお願いします。
とのお返事が…。どうやら基準は設けていなく、あいまいなようです。
このままでは郵便局によって取扱いが異なることになるので、出来ることなら制度開始の2022年1月17日までにしっかりと「同時に複数件」の定義を決めて欲しいところです。
おわりに
手数料の大幅改定を行うゆうちょ銀行。
今回の改定で子供の小銭貯金がやりにくくなり、ちょっと寂しい気持ちになりますね…。
なお本ページでは硬貨に関係する部分をピックアップしてまとめてみましたが、他にも
- ゆうちょキャッシュカード利用時のローソン銀行ATM・イーネットATMが値上げ
- 駅・ショッピングセンター・ファミリーマート等のゆうちょATMが日祝日有料になる
など、多くの人に影響がある料金改定が予定されていますので、ぜひ公式HPで詳しい内容をチェックしてみてください。
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