数年に1度訪れる運転免許証の更新作業。
行くタイミングや更新会場にもよりますが、場合によっては1日が潰れるほどの時間がかかることもある重労働…
そんな面倒な免許更新の救世主となり得るのが「運転免許証のオンライン更新」です。
今回はオンライン更新を試せる機会がありましたので、その利用手順や、実際に利用した感想などをまとめてみました。

本ページではオンライン更新時講習の概要をはじめ、注意点・利用手順・メリット・デメリットなどをまとめています。
優良講習のオンライン更新時講習がお試しスタート
本記事作成時点(2023年5月6日)では、運転免許証のオンライン更新は全国で実施されていません。
実施されているのはモデル事業として採用された北海道、京都府、千葉県、山口県の4道府県のみです。

人口がそれほど多くない場所で試験的に実施し、ブラッシュアップされてから全国に広がるものだと思われます。
オンライン更新のお試し期間は2023年4月1日~2024年3月31日となってはいますが、過去にも期間を区切って同様のお試しが実施されていたので、2024年4月以降に全国でオンライン更新が導入されるわけではないと思われます。

警察署に全国に導入されるのはいつ頃?とダメ元で問い合わせてみましたが、「何も答えられない」との返答でした。
免許の更新がオンラインで完結するわけではない
「運転免許証のオンライン更新」と聞くと、

家にいながら免許更新が完了するの!?便利そう!
と思う方もいらっしゃると思いますが、残念ながら現時点では在宅で全てが完結するわけではありません。
オンラインに置き換わったのはあくまでも「運転免許更新時の講習」だけであって、
- 免許の更新作業(旧免許証の穴あけや、新免許証の受取)
- 更新手数料等の支払い
- 視力検査
- 写真撮影
などをやるために、警察署や運転免許試験場などに実際に行く必要がありますのでご注意ください。

ただ、現地での講習がないおかげで時短になるのはもちろん、講習時間を気にせず会場に行けるので、すごく楽になりました!
オンライン受講ができる人・できない人は?
すごく便利そうな運転免許証のオンライン更新ですが、全ての人が利用できるわけではありません。
現時点でオンライン更新が利用できる人は
- 対象地域(北海道、京都府、千葉県、山口県)の更新連絡書が届いた人
- オンライン講習を受ける時点で、その地域に居住している人
- マイナンバーカードの登録住所が対象地域である人
- 講習区分が「優良」である人
- 高齢者講習対象の70歳以上ではない人(高齢者講習対象を受けない人)
の5つに当てはまる人が対象となります。
詳しい対象者はこちら(北海道警察のオンライン受講に関するHP)など、お住まいの地域の警察署HPでご確認ください。

上記はあくまでも現時点のモデル事業における対象者となります。全国的に導入されるときに同じ条件とは限りません。
下の画像は北海道に住む私のところに届いた更新連絡書です。
下部のところにオンライン受講に関するメッセージが印字されていますので、対象地域にお住まいの方は要チェックです。
実際にオンライン受講してみた
現地で免許更新時の受講をするのにうんざりしていたので、オンライン受講は渡りに船です。
早速やってみることにしました。
事前準備(必要なもの)
講習をオンラインで受けるのに必要なのは次の通りです。
- マイナンバーカード
- 運転免許証(免許証番号を入力します)
- パソコンの場合
- インカメラまたはWebカメラ
- ICカードリーダー(マイナンバーカードを読み取ります)
- スマホの場合
- マイナンバーカードが読み取れるスマートフォン

そもそもマイナンバーカードを作っていない人はオンライン更新が利用できません。
またスマホの場合はマイナンバーカードを読み取れるNFCが搭載されている必要があります。対応機種の一覧(PDF)
私は今回パソコンで受講したので、ICカードリーダーを別途用意しました。

ICカードリーダーは1つあると確定申告等の行政手続きが家にいながら完結するので、一家に1台は欲しいガジェットです。
またパソコンにインカメラがない人は、別途Webカメラを用意しましょう。ロジクールなどの聞きなじみがあるメーカーのものでも、2,000円ちょっとで購入可能です。LINE電話・Zoom・Skypeでも活躍します。
受講手順
事前準備が整ったら、早速オンライン受講をしてみます。
オンライン受講は24時間いつでも可能なので、自分の好きなタイミングで講習を受けることが出来ます。
オンライン受講はこちらのページ、もしくはお住まいの地域のオンライン免許更新に関するページに貼られているリンクから遷移します。
ページを開くとこんな画面になりますので、そのまま進む場合はハンドル部分の画像を選択します。このまま進むのは不安で、1度マニュアルを確認したい人は右下の「操作マニュアルを確認する」を選択しましょう。
PDFで59ページにわたり、丁寧にオンライン免許更新とその操作方法について書かれています。
次の画面では利用規約とプライバシーポリシーについての同意を求められます。
内容を確認したら下の2つのチェックボックスをONにして、「同意する」を選択します。
次に注意事項が表示されますが、赤文字部分には「替え玉禁止」の注意書きがあります。罪に問われる可能性もあるとのことで、当たり前ですが本人がきちんと受講する必要があります。
次にマイナンバーカードの認証を行います。私の場合はパソコンでの受講だったので、ICカードリーダーにマイナンバーカードをセットして、「読み取りを開始する」を選択します。
スマホの場合はNFCリーダー部にマイナンバーカードをかざすような指示が表示されますので、画面に従って操作を進めます。

動作環境により、別途アプリ等のインストールを求められます。私はChromeのアドインが足りなかったので、そのインストールを求められました。

マイナンバーカードが読み取れる環境が整ったら、署名用電子証明書パスワードが求められます。

電子証明書は5年ごとの更新が必要で、更新を怠るとこの機能は使えません。詳しくはこちらの記事で解説しています。
無事マイナンバーカードが読み取れたら、氏名・住所・生年月日が表示されるので、念のため正しいかを確認します。
次に画面下部の「免許証番号」に半角数字12桁を入力し、「入力内容を確認する」を選択します。
以上で事前の情報登録・確認は完了です。オンライン講習のステップが1~4まで表示されていますが、ステップ2の「運転教育・広報動画」は任意で、それ以外は必須項目となっています。
オンライン講習を開始するには、下部の「優良運転者講習を開始する」を選択して、
「講習を受講する」を選択し、
受講地域が表示されるので「開始する」を選択します。
次に顔画像撮影の同意が求められます。
受講中は3回の撮影があり、その画像をもって本人が受講しているか否かが判定されます。
後ほど詳しく書きますが、勝手に録画や撮影がされているわけではなく、途中で顔写真撮影のタイミングがあります。
ここからは約30分のオンライン講習がスタートします。
もちろん真面目に受けるのが大前提ですが、テスト的にどこまでしたら映像がストップするのか、検証してみました。
結論、パソコンの場合は下の画像のようにブラウザを並べていても、受講中と判定されました。
ブラウザが背面にいったり、隠れてしまうと映像がストップします。
また受講途中に数問の「確認テスト」が表示されます。
間違えてもペナルティがあるわけではないですが、一定時間回答をしないとオンライン講習がストップし、最初からやり直しになるようです(映像だけ流しておいて、違うことをしている人の対策だと思われます)。
講習中は3回の顔写真撮影があります。
顔写真はランダムのタイミングで撮影されるわけではなく、こちらがチェックをONにしないとカメラ自体が起動しない形となっています。
カメラを起動するとフォーカスが表示されるので、「顔画像を撮影する」を選択して…
自分がきちんと受講している証拠を撮影します。問題がなければ「顔画像を送信する」を選択します。

なお確認テストと同様、こちらも一定時間放置するとオンライン講習がストップし、最初からやり直しになるようなのでご注意ください。

受講する前は遊園地のアトラクションのようにランダムに撮影されるかと思っていましたが、こちらが許可しなければカメラ自体が起動しないなど、かなりプライバシーに配慮された仕様になっています。
複数問の確認テストと、3回の顔写真撮影をこなしながら進めていき、約30分で受講が完了しました。
続いて任意の「運転教育・広報動画(約10分)」を見る人は「視聴する」を、見たくない人は「スキップする」を選択します。

以上でオンライン受講は終了です。ただこれだけで終わりではなく…
必ず終了後の全9問のアンケートに答えましょう。これをやらないと、オンライン受講が完了したことになりませんのでご注意ください。
オンライン受講後、免許更新をしに警察署へ
オンライン受講が完了したら、実際に免許更新をしに警察署や運転免許試験場に行きましょう。
持ち物は
- 運転免許証
- 更新連絡書
- 更新手数料
- メガネ or コンタクトレンズなど(必要な人のみ)
- 免許用写真(事前に撮りたい人や、会場に写真撮影設備がない場合)
です。
私は札幌にある中央警察署に行って更新してきました。
ちなみに混む時間帯を避けたいのであれば、事前に何時が混むのか問い合わせをするのがオススメです。
私は「10時~11時、14時半以降が空いている」と教えてもらったので、この時間を目がけていきました。
また即日発行をしたい場合は、何時までにいけばすぐに免許証を受け取れるのかも確認しておくのがオススメです。

普通は講習時間を目がけていくので必然的に混みますが、オンライン受講をしていると受講時間に関係なく行けるのでかなり楽でした!
地域や会場によって更新手順は違うのかもしれませんが、私の場合はまずは受付で免許証と更新連絡書を渡して、「暗証番号の設定」「申請書・質問票の受取」を行いました。
近くの記載台で申請書と質問票を記入します。
オンライン講習受講済みの人は申請書にこのような付箋が貼られていました。
あとは収入証紙を購入して…

視力検査をパスしたら、2階の受付に申請書を提出します。
顔写真撮影後、下の画像の「免許証引換券」を貰って、新しい免許証と交換したら更新作業は終了です。
いつもは早くても1時間かかる免許更新ですが、上記のように写真を撮りながら進めても約15分で終わりました。
免許受取までの流れをまとめると(北海道の中央警察署の場合)、
- 【14:58】受付&暗証番号設定
- 申請書・質問票記入
- 証紙購入&貼り付け
- 視力検査
- 申請書受付
- 写真撮影
- 【15:14】免許受取
と、かなり時間の節約になりました。
私は写真を撮ったりで手間取りましたので、スムーズにいけばもっと早いはずです。
また顔写真の撮影待ちの時間が1番長かったので、写真を持参したら10分を切る時間で免許証が更新できると思います。

1度体験すると、やみつきになるくらいの便利さでした!モデル事業が終わってもそのまま継続してくれるといいのですが…
オンライン講習のメリット・デメリット
以上、オンライン講習を実際に体験してみて感じたメリット・デメリットは次の通りです。
メリット
細かいメリットはたくさんあるとは思いますが、自分が感じたオンライン免許更新のメリットは主に次の3つです。
- 24時間いつでも受講ができる
- 免許受取時の時間が短縮できる
- 混雑を回避できる
やはり時短が出来るのが個人的に1番のメリットです。
特に恩恵がありそうなのは平日は忙しくて土日にしか免許更新に行けない人だと感じました。
オンライン講習をすることで当日はスムーズに手続きが進むほか、職場の近くに更新会場があれば

ちょっと新しい免許受け取ってきます!
という感じで、平日の勤務時間中10分~20分の中抜けで免許更新が完了できそうです。
デメリット
オンライン更新はすごく便利でデメリットは特に感じなかったのですが、強いて言うのであれば次の2点です。
- 事前の準備が必要(特にパソコンの場合はICカードリーダーなど)
- 結局は警察署や試験会場に行く必要がある
前者の「事前の準備」については、スマートフォンがあれば事足りるので些細なことだと思います。
特に日本人はiPhone比率が高いので、iPhone7以降であればマイナンバーカードの読み取りが可能です。
問題は後者の「結局は警察署や試験会場に行く必要がある」という点ですが、これは視力検査が必須のため、仕方のないことだと感じます。
逆に言えば視力検査の問題さえクリアできたら、完全オンラインでの免許更新が可能になると思うので、全国的に導入されるときにどうなるのか楽しみです。

ただパスポートのオンライン更新も、結局は受取時の本人来店が必須なので、完全オンラインは難しいかも知れませんね…。
おわりに
初めて運転免許証のオンライン更新を体験してみましたが、24時間いつでも受講でき、免許更新当日も時短になるなど、メリットしか感じませんでした。

自分はすごく便利で感動したオンライン更新ですが、中央警察署の人に聞いてみたら利用者は少なめなようです…。
本記事作成時点ではまだ一部の地域しか導入されていませんが、対象地域の人は是非利用してみてはいかがでしょうか。
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