2016年4月から始まった電力の全面自由化。
新電力の割合は緩やかではありますが年々増え続けています。
新電力の特徴はそのプランです。
各社が特色のあるプランを提供し、ユーザ側も魅力的な電力会社を選べるWIN-WINの関係を築けていました。
しかし2021年1月に「高騰」というキーワードと共に暗雲が…
本ページでは「電力の市場価格高騰」と「市場連動型プラン」について、浅く・ざっくりとまとめています。
なんとなく今回の騒動の概要を知りたい人向けの記事です。
内容の深堀りはしておりませんのでご注意ください。
電力の市場価格高騰について
まず今回の騒動の発端は「電力の市場価格高騰」にあります。
電力の市場価格はJEPXという電気の取引所(株でいう東証のようなところ)で決まるのですが、これがかなりの高値となっています。
次の3枚の画像は2020年4月1日・2021年1月1日・2021年1月19日の価格なのですが、縦軸の数字をみれば一目で高騰ぶりがわかります。
価格高騰の背景には「寒波による電力需要の増加」と「火力発電燃料(LNG)不足」があります。
とくにLNGはアジア全体で取り合っているような状況で、国家単位での話しになっています。
そもそも市場連動型プランってなに?
今回問題視されているのが「市場連動型プラン」と呼ばれる電力プランです。
市場連動型プランは上で説明したJEPXの取引価格に連動したもので、「JEPXの取引価格が下がる = 電気代が安くなる」「JEPXの取引価格が上がる = 電気代が高くなる」というプランです。
なお市場連動型プランを提供しているのは新電力会社のみで、東京電力・東北電力・北海道電力など、従来からある電力会社を利用している人にとっては今回の騒動は関係のない話になります。
高騰前は電力価格は落ち着いた値動きだったため、市場連動型プランは通常のプランに比べて比較的安い水準でしたが、今回の高騰を受けてネット上では「月の電気代が10万円超えなんだけど…」「1日の電気代 = ひと月の電気代みたいな感じになってる」など、市場連動型プラン契約者の悲痛な叫び声が散見されます。
その一方「今まで安かったんでしょ?」「その変動を承知で契約したんだからしょうがない」などの意見も見られました。
新電力会社 = 高騰というわけではない
ここで勘違いして欲しくないのが「新電力会社 = 高騰」という認識です。
市場連動型プランを提供しているのは新電力会社でも一部で、多くの新電力会社では採用していないプランとなります。
私自身も「親指でんき」という新電力会社を利用しているのですが、「市場連動型の料金設定は採用していないので安心して」というアナウンスがされていました。
もし自分が新電力会社を利用していて不安な人は、契約中の会社のHPを覗いてみてください。何らかのアナウンスがされているはずです。
影響をうけそうな電力会社
市場連動型プランを提供している代表的な新電力会社は下記となります。
これらは市場連動型プランを提供している一部の会社になります。
市場連動型プランを提供している全ての会社ではありませんので、不安な人は必ず自身の契約を確認・問合せしましょう。
ダイレクトパワー
URL:https://direct-power.jp/low-v
ダイレクトパワーでは一般家庭向けの「DirectS」と、店舗向けの「DirectM」という市場連動型プランを提供しています。
テラエナジー
URL:https://tera-energy.com/home-secondary
テラエナジーは市場連動型のプラン1つのみを提供しています。
自然電力のでんき
URL:https://shizendenryoku.jp/
自然電力のでんきでは自然エネルギーの割合に応じて3つのプランを提供していますが、いずれも市場連動型のプランになります。
エルピオでんき
URL:https://lpio.jp/electrical/
エルピオでんきでは各地域によってプラン提供は異なりますが「スタンダード」と「市場連動型」の2種類が選べるようになっています。
ハチドリ電力
URL:https://hachidori-denryoku.jp/
ハチドリ電力は市場連動型のプラン1つのみを提供しています。
各社の対応
今回の価格高騰を受けて、市場連動型プランを提供している各社は次のような対応を行っています(対応は各社によって異なります)。
- 市場連動型プランの新規申込停止
- 市場連動型プランの解約手数料無料
- 即日解約の周知(停電する可能性あり)
- 電気料金の割引実施および検討
とくに自然電力のでんきでは、具体的かつ高額な割引き対応に踏み切っていて、かなり手厚い対応となっています。
【自然電力のでんき公式アナウンスより抜粋】
お住まいの地域の大手電力会社(注)の電気料金を基準として、それを超える分の電気料金につきまして、30,000円を上限として電気料金より値引きさせていただきます。
https://www.shizenenergy.net/2021/01/11/jepx_information_04/
将来的な影響
直近で影響を受けているのは市場連動型プランの契約者ですが、火力発電燃料(LNG)の高騰が収まらない限りは他の新電力会社、および大手電力会社(東京電力など)にも影響が出てきます。
具体的には「電気料金の値上げ」や「計画停電」です。
火力発電燃料(LNG)の高騰は2021年2月も継続する見通しが強いため、引き続き緊張感を持って成り行きを見守りたいところです。
また個人で出来ることはやはり「節電」です。
各社で呼びかけているように「必要のない電気は使わない」を徹底することが貢献につながります。
おわりに
市場連動型プランは平常時の価格が安いため、料金だけを比較して加入している人が多い印象です。
何事もリスクとのバランスが重要なので、契約内容は十二分にチェックする必要があります。
また今回の件で「新電力会社 = 危険」という誤った認識が広がることが心配です。
電力の自由化は各社の競争を促すことが最大の狙いです。
多くの新電力会社が淘汰され、体力のある会社(携帯3社や楽天など)のみが残るのはユーザの不利益でしかありません。
無理のない範囲で節電をし、まずは今冬を乗り切りましょう。
また、まだ新電力への切り替えを行っていない人はプランを吟味した上で、前向きな切り替えをオススメします。
また検討するときはエネチェンジなどのサイトで価格を比較して選ぶことをオススメします。普通に契約するよりも、エネチェンジ独自の特典があったりと電気代以外でもお得な部分があります。
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